耳の縁から出血が止まらなくなったチワワ

アトピー性皮膚炎など、かゆい症例だけでなく、その他難治性の皮膚の病気にも対応している皮膚科担当の横井です。

 

症例

今回の症例は8歳の時に保護犬でおうちに迎えた推定13歳のサランちゃんの話。

おうちに来た時から、ずっとかゆみがあって、ステロイドやアポキルを服用していたとのことです。
痒みは1年ほど前からひどくなり、エリザベスカラーを常時装着しているとのことでした。
さらにここ1か月前から両耳の縁から出血し、たびたび止まらなくなるそうです。また、痛みがあるようで、首を振るため、さらに出血が激しくなるとのことでした。治療として両耳には、他院で処方してもらっていたステロイド剤を3日に1回点耳使用していたそうです。

両耳は表裏どちらも脱毛が認められ、耳の縁には出血跡と考えられる大きな痂疲(カサブタ)がついていました。
耳介を触ると明らかに左耳のほうが薄く、血管が浮き出て一部穴も開いていました。
経過と現症状により、血管炎と診断しました。

 

治療と経過

血管炎とは、血管の中で血栓が形成され、血行が妨げられることで、耳の縁の皮膚が壊死、脱落する病気です。

治療後、2か月です。血は全く出なくなり、耳介が少し厚く、発毛も認められました。


このような耳の縁の脱毛や出血は、血行が悪くなる冬の間に多く認められ、トイ・プードル、パグ、ミニチュアピンシャー、イタリアングレイハウンド、ミニチュアダックスフンとなどで経験しています。生れつき耳の皮膚が薄いワンちゃんはこの病気の予防として、特に冬は部屋の暖房温度を高めに設定する、外出する時には、スヌードなどの防寒対策を行う、耳の血行を良くするためにマッサージを行う事などが大切です。

耳の縁の脱毛、出血でお困りの方はお気軽にご相談ください。

皮膚科担当獣医師 横井愼一