甲状腺機能低下症のビーグル

こんにちは。皮膚科担当の横井です。

 

症例

慢性的な外耳炎、前肢・後肢ともに指の間が腫れておりステロイドと抗生剤を飲んでいるが良くならないとのことで8歳のビーグルのももちゃんが来院されました。
ご家族は気にされていなかったのですが、ももちゃんを一目見て、気になったのは顔の腫れ。
何かのアレルギーかと思ったのですが…。血液検査をしてびっくり。典型的な甲状腺機能低下症でした。

 

甲状腺機能低下症とは

甲状腺は首にあり、甲状腺ホルモンを分泌します。体の役割として新陳代謝をつかさどるホルモンです。発生率は0.2%つまり犬500頭に1頭と言われています。
原因:リンパ球性甲状腺炎(自分のリンパ球が甲状腺を攻撃してしまう)特発性(原因不明)
好発犬種:欧米ではレトリバー類 ドーベルマン 日本ではシェットランドシープドック、ビーグル、ミニチュアシュナウザー
主な症状:元気がなくなる 
皮膚症状: 脱毛(特に尻尾) 皮膚に厚み、肥満、脂っぽくフケがでる 感染症
神経症状が認められることもあります。
徐脈 低体温なども認められます。
放置すると、脳の働きが低下し昏睡に陥り死に至ります。

初診時のモモちゃんの顔

特徴的な症状の皮膚の厚み、特に上まぶたが重くなって目が開けられない状態です。
頬にも厚みがあり、腫れぼったく粘液水腫を起こしています。
あまりにも悲しい顔なので、悲劇的顔貌と呼びます。

甲状腺ホルモン剤投与後2か月


初診時と比べて明らかに、まぶたが軽くなり、とても可愛い顔になっていますね!
頬のむくみも取れてすっきりしています。ご家族も驚くほど活動的になりました。
活動的になった理由はもうひとつ、体重の変化があります。ご家族は食べ過ぎが原因で肥満になったと思っていたのですが、ももちゃんの肥満は甲状腺ホルモンの低下で起こっていたのです。投与開始から2か月で何と17.3kg から10.3㎏まで減量できました!


この病気は、診断されるとずっと投薬が必要ですが、しっかり投薬を続ければ寿命はまっとうできます。甲状腺機能低下症という病気は、ゆっくり進行することが多く、ご家族さえ病気に気づけないことが多い病気です。また、内分泌の専門の先生曰く、大変誤診が多い、つまり、甲状腺機能低下症ではないのに薬を飲まされている犬がとても多い病気とされています。

正しい治療が行われた場合、1か月程度で活動性が増し、脱毛が認められる場合は投薬から3か月~4か月で発毛が認められます。最近、眼に力がない、元気がない、脱毛が気になるそんな時には、いつでも当院にご相談ください。

皮膚科担当獣医師 横井愼一