牛肉アレルギーと診断したフレンチブルドッグ

食物アレルギー・アトピー性皮膚炎が多いフレンチブルドッグの治療に力を入れている泉南動物病院 皮膚科担当の横井です。
最近はアポキルを飲んでいるのに痒みが止まらないとの主訴で来院される方がずいぶん増えました。
犬種ではフレンチブルドッグ・柴・トイプードルが多いです。
このような犬種で痒みを主訴に来院される場合は、症状に季節性があるか、ウンチの硬さ、今までの食事歴をていねいに問診するところから診察が始まります。

 

症例

フレンチブルドッグ 1歳 避妊済み メス

 

来院理由

・顔回り、指の間や、おなか、股の内側が痒く赤くなっている。
・アポキルは通常量の2倍服用している。
・さらにステロイドのローションも塗っているにもかかわらずかゆみが強い。

(左:胸 右:口周り)

 

症状

・生後数か月からの痒み
・常に軟便気味
・季節にかかわらずかゆみがある

 

診断と治療

食物アレルギーがおこりやすい年齢は6か月未満で、その後は中高齢でも発症します。
来院理由と症状から、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎を併発していると診断。

アレルギーの起こしにくい療法食に変更したところ、いつも軟便だったものが常に良い便となり、
アポキルは通常量1日1回の服用で、強いかゆみと皮膚の赤みはすっかり良くなりました。

初診時と2ヶ月半後の比較写真です。

写真では少しわかりにくいですが、胸周りの赤みが引きました。

口周りも赤みが引き、毛が生えそろってきました。

 

食物負荷試験

かゆみが落ち着いたところで希望される方には食物負荷試験を行います。
食物負荷試験とは、処方食に2週間ごとに1品目ずつ特定のたんぱく質を加えて、痒みや吐く、下痢などの消化器症状が出ないか確認していきます。
この子の場合、療法食に牛肉を加えたところ、激しい下痢、さらに指間に赤みが再発し、激しい血便と同時に皮膚もかゆくなったことから、牛肉による食物アレルギーと診断しました。こうやって、少しずつその子によって食べていいもの、悪いものを区別していきます。

この足の裏の写真は、左が通常時、右が負荷試験後です。

牛肉により強い赤みと痒みが出たのが一目瞭然です。

 

まとめ

血液検査では食事アレルギーの原因はわかりません。
最近アトピー性皮膚炎に、このような食物アレルギーを併発しているワンちゃんが多く、ドッグフードの種類を変えるだけで、かゆみが全くなくなる症例も存在します。

まだ、この子は1歳ですから、まだまだ食のバリエーションを増やしたいですね。
これからも引き続き食べてよいもの悪いものを確認していきましょう。

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皮膚科担当獣医師 横井