ステロイドの効果がなくなった猫の過敏性皮膚炎

猫のアトピー、アレルギーなどかゆい皮膚病の治療に日々努力している泉南動物病院・皮膚科担当医の横井愼一です。
さて今日は、猫のアトピー性皮膚炎を紹介します。
実はこの病気の名前、正式名称ではありません。
犬のアトピー性皮膚炎は、人のアトピー性皮膚炎と共通点がたくさんあるのでこの名前がついていますが、猫の場合は原因や病気の仕組みがよくわかってないなどの理由から、現在は過敏性皮膚炎と呼ばれています。

この猫ちゃんは現在14歳。
2歳から現在まで、年に2~3回の長期型ステロイド剤と抗生物質の注射で何とか維持していたらしいのですが、「いつもの注射で効果がなくなった。またステロイドを繰り返し投与するのは心配」とのことで来院されました。

初診時の様子です。

皮膚がただれるほど、かゆみが強いようです。

首やしっぽの付け根などに皮膚の掻き壊しがあります。

病変にはアレルギー性皮膚炎で認められる好酸球がたくさん認められました。

1か月間の薬の投与で、顔、首やしっぽの付け根のすべてが綺麗になりました。




検査に取り掛かり、さまざまな感染症を除外し「過敏性皮膚炎」というアレルギー性の皮膚炎と診断しました。
もちろん治療の第一選択薬としてステロイドが挙げられるのですが、この猫ちゃんのご家族が心配する通り、私たち獣医師も猫で一番心配するのは長期にわたるステロイド投与による糖尿病です。
そこでこの猫ちゃんには免疫抑制剤を投与しました。
免疫抑制剤!?ってなんだかステロイドより怖いって感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、この薬は定期的に検査をしていれば、安心、安全に長期に投与できることがわかっています。

この猫ちゃんは来院から1か月で皮膚の状態が良くなり、1年経過した今でも再発なく、今後は徐々に薬を減らせるように様々な面から検討していきます。

犬や猫の皮膚のかゆみ、脱毛症でお悩みの方は一度ご相談ください。
院長 横井