腫瘍科用語集

2021.06.15

病気の症例腫瘍科腫瘍科用語集

これから腫瘍科では、たくさんあるがんの種類を、どんながんなのか、どんな症状があるのか、など説明していくブログを作成していきます。
これらを作成していくにあたり、専門用語が出てきます。
少しでもわかりやすくなるように、専門用語を簡単に解説させていただく用語集です。

 

<用語一覧>
知りたい用語をクリックすると、説明に飛びます。
・針生検・組織生検
・ステージング
・根治治療 緩和治療
・生存期間中央値
・予後

 

 

針生検・組織生検

・針生検とは
腫瘤(できもの)に細い針をさして、細胞を採取する検査です。
針生検は病気を確定するために行われる検査ではなく、その腫瘤が炎症なのか、良性腫瘍なのか、悪性腫瘍(がん)なのかを推測するために行われます。
<メリット>
・全身麻酔が不要な場合が多い
<デメリット>
・確定診断に至らないことが多い

・組織生検とは
腫瘤の一部あるいは全部を採取する検査です。
組織生検は病気を確定するために行われます。がんは、その種類によって治療方針が変わる可能性があるため、あらかじめ組織生検によりがんの種類を確定することが推奨される場合があります。
<メリット>
・確定診断ができることが多い
・同時に治療(手術)を兼ねている場合が多い
<デメリット>
・全身麻酔が必要な場合が多い
・腫瘤の一部のみ採取する場合、治療(手術など)のために再度全身麻酔が必要となる可能性がある


一般的に針生検でどのような腫瘤なのかを推測し、経過観察でよいのか治療が必要なのかを判断し、針生検のみでは治療方針に迷う場合、組織生検で確定診断を行い、治療方針を決定するという流れになります。

 

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ステージング

がんの進行の程度を示す言葉で、原発巣(がんが最初に発生した部位)の大きさや広がり、
リンパ節転移や遠隔転移(他の臓器への転移)の有無によって決まります。

がんの場合、病気を診断するだけではなく、原発巣、リンパ節転移、遠隔転移を検査により評価することが治療を計画する上で重要となってきます。
(同じがんであっても、原発巣の大きさが小さく、リンパ節転移や遠隔転移がない場合と原発巣の大きさが大きく、リンパ節転移や遠隔転移がある場合とでは、治療や経過が異なります)

 

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根治治療・緩和治療

・根治治療とは
がんと闘う治療であり、がんをできるだけ体から取り除くことを目的とした治療です。
根治治療は長期生存(一般的には年単位)を目的とした治療であり、根治治療を行うことで中にはがんを治すことができる場合もあります。
一方、非常に悪性度の高いがんでは、根治治療を行ったとしても数カ月程度で亡くなってしまう場合もあります。
そのため非常に悪性度の高いがんの場合は、根治治療という言葉を使用せず積極的治療という言葉を使用することがあります。
根治治療では主に「手術」、「放射線治療」、「抗がん剤治療・分子標的治療」を単独あるいは組み合わせて行います。

・緩和治療とは
がんと闘う治療ではなく、がんによる苦痛を和らげることを目的とした治療です。
緩和治療は長期生存を目的とした治療ではなく、たとえ短期間(一般的には月単位)であっても
その期間の動物の生活の質を改善するために行う治療です。
緩和治療では主に「痛みの治療」、「栄養治療」、「症状を和らげる治療」を単独あるいは組み合わせて行います。
また、緩和治療として「手術」、「放射線治療」、「抗がん剤治療・分子標的治療」が行われる場合もあります。

根治治療と緩和治療は切り離して考えるものではなく、根治治療を行うことが結果として緩和治療
につながる場合があります。そのため、根治治療を行う場合であっても同時に緩和治療を行う必要があります。

 

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生存期間中央値

同じがんを患った動物において、50%の動物が亡くなるまでの期間のことです。
例えば99頭の動物が同じがんに患った場合、50頭目の動物が亡くなった期間が生存期間中央値となります。
生存期間中央値はがんに患った動物がどのくらい生きることができるかの目安のために使用されます。
一方、あくまで目安ですので、その期間より短い場合もありますし、長い場合もあります。
そのため、生存期間中央値だけでなく、1年生存率や2年生存率もあわせて参考にする場合もあります。

 例:上の図はあるがんに罹患した29頭の動物のカプラマイヤー生存曲線を表しています。
  生存期間中央値(赤矢印):約430日
  1年生存率(青矢印):約70%
  2年生存率(緑矢印):約32%

上記のように一般的にはカプラマイヤーという生存曲線を用いて、生存期間中央値や1年生存率、2年生存率は決定されます。

 

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予後

今後の病気の見通しのことです。
一般的に、病気がよくなる可能性が高い場合は「予後がよい」、病気が悪くなる可能性が高い場合は「予後が悪い」と表現します。
同じがんであっても、病気の進行具合、治療の効果などによっては予後がよい場合もあれば、予後が悪い場合もあります。

 

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おうちのわんちゃん・ねこちゃんががんと診断された時、どんな病気なのかということをより知ってもらえる一助になればと思います。

腫瘍科担当獣医師 伊藤敏生