大掃除で使うその洗剤、ペットには危険かも?愛犬・愛猫を守る「薬剤・殺虫剤」の安全な扱い方
2025.12.20

12月に入り、そろそろ年末の大掃除の計画を立てている方も多いのではないでしょうか。
普段は手の届かない場所をきれいにしたり、お部屋の模様替えをしたりするのは気持ちが良いものです。
しかし、大掃除で活躍する強力な「洗剤」や、家具の裏から出てきた「殺虫剤」などは、
人間には便利でも、体の小さなわんちゃん・ねこちゃんにとっては中毒事故の原因となる危険物かもしれません。
今回は、大掃除のシーズンに特に気をつけたい、
薬剤トラブルを防ぐための「3つの鉄則」と注意すべき成分についてお話しします。
特に注意が必要な「大掃除アイテム」

ご家庭によくある製品でも、ペットの種類や体の大きさによっては重篤な症状を引き起こすことがあります。
1. 塩素系漂白剤・カビ取り剤
お風呂場やキッチン掃除で使う、特有のツンとした臭いのある洗剤です。
これらは強アルカリ性であることが多く、原液を舐めてしまうと口の中や食道に重度の炎症(化学熱傷)を起こす危険があります。
また、混ぜるな危険のガスは、人間同様、ペットの呼吸器にも深刻なダメージを与えます。
2. くん煙タイプの殺虫剤(バルサンなど)
部屋全体を締め切って使う殺虫剤です。
特に注意が必要なのは「猫ちゃん」です。
殺虫成分としてよく使われる「ピレスロイド系(ペルメトリンなど)」の薬剤は、
肝臓での代謝機能が独特な猫にとって、中毒(痙攣や流涎など)を引き起こしやすいことが知られています。
「哺乳類には安全」と書かれていても、猫がいるご家庭では成分をよく確認し、
「猫に使用不可」の製品は避けるか、使用後の換気・拭き掃除を徹底する必要があります。
【こちらも参考に:「イヌの中毒事故の特徴」と「中毒事故防止のためのチェックリスト」】
https://www.j-poison-ic.jp/general-public/prevent-poisoning-accidents/dog/
事故を防ぐ「3つの鉄則」

事故の多くは、「ちょっと目を離した隙」や「拭き残し」から発生しています。以下の3つを徹底しましょう。
鉄則①:使用中は「完全隔離」する
強力な洗剤やワックス、くん煙剤を使用している部屋には、絶対にペットを入れないようにしましょう。
「ケージに入れているから大丈夫」ではなく、空気がつながっていない別の部屋(あるいはキャリーに入れて換気の良い場所)へ移動させてください。
鉄則②:換気と「水拭き」を徹底する
薬剤のニオイや成分は、空気中だけでなく、床にも残留します。
わんちゃん・ねこちゃんは床に近い場所で呼吸をし、素足で歩き、その足を舐めます。
使用後は十分に換気を行い、床や家具などペットが触れる場所は、
洗剤成分が残らないよう念入りに水拭きをしてください。
鉄則③:保管場所は「高いところ」か「鍵付き」へ
大掃除の最中、使いかけの洗剤を床に置いたままにしていませんか?
好奇心旺盛な子は、容器を倒してこぼれた液を舐めたり、ボトルのキャップを噛んで開けたりしてしまうことがあります。
作業を中断する際も、必ずペットの手(口)の届かない場所へ片付けましょう。
万が一、舐めてしまったら?

もし、洗剤や薬剤を舐めてしまったり、皮膚にかかってしまったりした場合は、慌てて無理に吐かせようとしないでください。
強酸性や強アルカリ性の洗剤の場合、吐かせることで食道や喉を再度傷つけてしまう恐れがあります。
- 皮膚についた場合:
すぐに大量のぬるま湯で洗い流してください。 - 飲み込んだ場合:
製品のパッケージ(成分表)を持って、直ちに動物病院へ連絡・受診してください。
いつ、何を、どれくらいの量飲み込んだかという情報が、治療の鍵となります。
まとめ

ピカピカのお部屋で新年を迎えることは、ペットにとっても快適な環境づくりにつながります。
人間用の便利な道具が、小さな家族にとってはリスクになることを心の片隅に置き、安全第一で大掃除を進めてくださいね。
ご不安な点があれば、かかりつけの獣医師にご相談ください。
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本記事に掲載されている情報は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の動物の症状や状態を診断・治療するものではありません。
個々のペットの健康状態に関するご相談は、必ず獣医師にご相談ください。






