冬の「バチッ!」はペットもつらい。今日からできる愛犬・愛猫の乾燥と静電気対策【4つの習慣】
2025.11.16

冬が近づき、空気が乾燥してきましたね。
ドアノブに触れて「バチッ!」としたり、セーターを脱ぐときに静電気が起きたり、私たち人間も不快に感じることが増える季節です。
実は、その静電気、わんちゃん・ねこちゃんも感じています。
飼い主様が撫でようとした瞬間に「バチッ!」と火花が散り、ペットが驚いて逃げてしまった…という経験はありませんか?
静電気はペットにとっても不快なだけでなく、時には痛みも伴います。さらに、乾燥した空気はペットの皮膚や被毛のトラブルにもつながりやすくなります。
そこで今回は、ご家庭で今日から始められる、ペットのための「乾燥・静電気ケア」の3つの習慣(一般論)をご紹介します。
習慣①:お部屋の「加湿」で環境を整える

静電気は、空気が乾燥していると発生しやすくなります。
まずは、ペットが多くの時間を過ごすお部屋の湿度を適切に保つことから始めましょう。
どうすればいいの?
・加湿器の使用:ペットが倒したり、コードを噛んだりしないよう、安全な場所に設置しましょう。湿度は40%〜60%程度を目安に保てると快適とされています。
・濡れタオルや洗濯物を干す:加湿器がない場合でも、室内に濡れたタオルや洗濯物を干すだけで、お部屋の湿度は上がります。
注意点
・アロマオイルはNG:加湿器にアロマオイルやエッセンシャルオイルを入れるのは避けましょう。特にねこちゃんは、特定の成分をうまく分解できず、中毒を起こす危険性があるため注意が必要です。
・清潔を保つ:加湿器のタンクやフィルターはこまめに清掃し、カビや雑菌が繁殖しないようにしましょう。
習慣②:「ブラシの素材」を見直す

ブラッシング時の摩擦も、静電気が発生する大きな原因の一つです。
特に、プラスチック製や化学繊維でできたブラシは、静電気が起きやすいと言われています。
どうすればいいの?
・天然素材を選ぶ:ブラシを新しくする場合は、天然の獣毛(豚毛や猪毛など)や、木製のピンブラシなど、天然素材でできたものを選ぶと、静電気が起こりにくくなる場合があります。
・スプレーの活用:ブラッシングの前に、ペット専用の静電気防止スプレーや保湿スプレーを軽くスプレーしてからブラシを通すのも、摩擦を減らす一つの方法です。
習慣③:皮膚と被毛を「保湿」する

私たち人間と同じように、ペットの皮膚や被毛も空気の乾燥によって水分が奪われていきます。
皮膚や被毛が乾燥していると、静電気が発生しやすくなるだけでなく、フケやかゆみの原因にもなりかねません。
どうすればいいの?
・ペット専用の保湿剤を使う:ペットの皮膚や被毛に直接使える、スプレータイプやローションタイプの保湿剤が市販されています。これらを活用し、潤いを補ってあげるのも良いでしょう。
・シャンプーの選び方:シャンプー剤を保湿成分が含まれたものに変えたり、シャンプー後にリンスやコンディショナーを使ったりすることも、乾燥対策に役立ちます(ただし、洗いすぎはかえって皮膚のバリア機能を弱めることもあるため注意が必要です)。
注意点
・人間用は使わない:人間用の保湿クリームやローションは、皮膚のpH(ペーハー)がペットと異なることや、ペットが舐めてしまうと有害な成分が含まれている可能性があるため、絶対に使用しないでください。
・皮膚トラブルとの見極め:フケやかゆみ、赤みがあまりにひどい場合は、単なる乾燥ではなく、皮膚炎や他の病気が隠れている可能性もあります。
習慣④:「飲み皿」を見直す

乾燥する季節で静電気と共に注意したいのが、水分不足による脱水症状です。
飲み皿によっては飲みにくいと感じて、水を飲なくなるワンちゃん、猫ちゃんもいます。
実際の臨床現場でも、飲水量が足りず、慢性的な脱水を起こしている事が多く、それが原因で膀胱結石を認める事があります。
注意点

・ノズル式給水機に注意:ワンちゃんや猫ちゃんは舌を使ってすくうようにして水を飲みます。ノズル式の給水機の場合、この飲み方ができず、水を飲む量が少なくなってしまう可能性があります。ノズル式を使用する場合は受け皿を使うようにしましょう。
まとめ

冬の乾燥と静電気は、少しの工夫で和らげることができます。
「バチッ!」という不快感を減らしてあげることは、ペットの皮膚の健康を守ることにも繋がります。
また、膀胱結石や熱中症、膀胱炎につながる可能性のあるので、脱水症状も注意してあげましょう。
まずは加湿器を動かしてみる、ブラシの素材を確認してみるなど、簡単なことから取り入れてみてはいかがでしょうか。
もし、保湿ケアをしてもフケやかゆみが改善しない、赤みが続いているなど、気になることがあれば、自己判断せずに動物病院にご相談ください。
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本記事に掲載されている情報は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の動物の症状や状態を診断・治療するものではありません。個々のペットの健康状態に関するご相談は、必ず獣医師にご相談ください。



