フレンチブルドッグの治らない外耳炎~トラちゃんの場合~

皮膚科・耳科専門外来担当の横井です。
「耳の治療を続けているのに治らない」「首を振るたびに耳が痛そう」
そんなお悩みを抱えるご家族の皆さまへ、当院では耳専門外来を行っています。

 

症例

今回は、フレンチブルドッグのトラちゃんの症例をご紹介します。
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・慢性的な痒みと耳からの出血で来院されました。
トラちゃんは犬アトピー性皮膚炎を患っており、日頃から皮膚や耳の痒みが慢性的に続いていました。
ある日、「首を振ったら耳から出血した」とのことで来院されました。

・外耳道内で「ポリープ」が発見されました。
外耳道内を、膿を伴う外耳炎が確認されました。
さらに、詳しく観察すると外耳道をふさぐように大きなポリープが存在していたため、
後日、麻酔下でビデオオトスコープによるスネア(輪状の器具)でポリープを切除しました。

<耳の中をカメラで見た際の外耳道をふさぐ大きなポリープの動画>


<切除方法>
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<切除したポリープ>
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病理検査の結果は線維性ポリープでした。

 

線維性ポリープとは?

繊維性ポリープは、フレンチブルドッグ・パグ・シーズーなどの短頭種に多く見られます。
特徴として
 ・耳がいつも汚れている 
 ・痒がる・臭う
 ・首を頻繁に振る
 ・外耳炎が点耳薬や洗浄でも改善しない
といった症状が続く場合に疑われます。

 

治らない外耳炎の原因

通常の外耳炎治療(洗浄・点耳薬)を行っても改善しない場合、耳の奥にできたポリープや腫瘍が原因となっている可能性があります。
当院では、皮膚科・耳科の専門外来にて、必要に応じてビデオオトスコープ(耳内視鏡)を用いた精密検査と低侵襲治療をご提案しています。

「外耳炎が治らない」「痒みが止まらない」「耳がいつも汚れている」
という場合は、ぜひ当院の皮膚科・耳科専門外来へご相談ください。

皮膚科担当獣医師 横井愼一