慢性腎臓病について

前回もご案内しましたが、当院ではただいま健康診断のキャンペーンを実施中です。
肥満度や歯周病、皮膚病、胆泥症、皮膚や臓器のできもの、ホルモンの病気(甲状腺機能亢進症やクッシング症候群など)…健診にて新たに病気が判明したワンちゃん・ネコちゃんもいます。
その中でも出会うことの多い、慢性腎臓病についてお話ししたいと思います

<そもそも腎臓の働きって?>

腎臓は、血液を濾過し、余分な老廃物や塩分を取り除き、不要となったものを尿として体の外に排出しています。
その他にも、尿の濃さを調節して体の水分量を保つ・血圧を調節する・ホルモン生成など、重要な働きをしています。

<慢性腎臓病とは?>

実は様々な原因がありますが、共通しているのは、少しずつ腎臓の機能が低下していく病気だということです。そして、慢性的に失われてしまった腎機能が回復することはありません。悪化していくことで、尿毒症と呼ばれる、体から毒素を排出できなくなってしまう状態を引き起こし、最終的に死亡してしまいます。
※つまり、慢性腎臓病では、早期に腎機能の低下に気づき、進行をいかに遅らせてあげられるかが重要になってきます。

<注意する症状は?>

食欲低下、体重減少、脱水、嘔吐、水をよく飲む、尿の量が増える、などの様々な症状が認められます。このような症状は見落としてしまいがちで、発見された時には腎臓は残り1/3の機能しか残っておらず、ある程度まで進行してしまっていることが多いです。

<必要な検査>

血液検査、尿検査、レントゲン・超音波検査などを組み合わせて診断します。
腎臓病の早期発見に重要なのが尿検査で、尿が薄くなっていることは、血液検査よりも先に異常として認められることが多いです。また、外部の検査会社に委託して調べる血液検査にて、さらに早期に腎臓病を発見できることもあります。
また、高血圧や蛋白尿、脱水具合など、腎臓病をさらに悪化させる因子が存在していないかも定期的に確認していくことが重要です。

<治療>

慢性腎臓病の治療の目的は大きく二つあります。
①進行を遅らせる
代表的なものが食事療法です。腎臓病のために作られた食事に変更することで、進行を遅らせることができるとわかっています。
ただし、むやみに食事療法を始めてしまうと、筋肉が減りさらに痩せてしまう、脱水が進行してしまうなど、状態が悪化してしまう可能性もあるため、獣医師の指導のもと食事療法を始めていきます。
他には、活性炭やリン吸着剤の投与などがあります。
②症状を抑える
脱水や嘔吐など、実際に認められている症状に対して、皮下点滴や吐気止め・胃薬の投与などを行っていきます。

慢性腎臓病についてお話しをしてきました。
早期発見・早期治療には、早期検査が重要です!
健康診断のキャンペーンは11月いっぱいまでです。
腎臓病のチェックの尿検査は、朝一番の尿での検査がおすすめです。
詳しくは病院スタッフまでお声がけください。

ちなみに…私の実家にいるコロンも、腎臓病・甲状腺機能亢進症で治療中です。
なんだか痩せてきたな…ということで、近くの病院で健康診断をしていただき、見つかりました。
投薬と食事療法で治療中です。
たまに薬をプッ!と吐き出します。廊下に落ちていることもあるんだとか。
毎日お薬を飲ませようと闘ってくれている母に、感謝です。

獣医師 長尾