せんなん通信

猫の吸収病巣

2017.08.28

近年、ペットの口腔内について、動物病院や飼い主さんの関心が高まっていることもあり、デンタルケアの話題を聞くことが増えてきました。

しかし、犬の話はよく耳にする一方で、猫の口腔内についての話はあまり聞きません。ところが、猫も人間や犬と同じで口から食べ物を摂取し、歯や歯肉があり、歯石も付着しますので、必ずデンタルケアが必要です。

今回はあまり知られていない猫の口腔疾患「吸収病巣」についてお話していきたいと思います。

 

 

〇吸収病巣とは?

破歯細胞(歯を壊す細胞)により歯質が進行性に吸収される疾患のこと。

1970年代までは齲歯(=虫歯)と誤認されていたため、あまり認識されていませんでした。

1960年以降に増加した病気で、この原因としては、摂食方法や飼育環境の変化が考えられています。

なぜ破歯細胞が活性化されるのかは明確には分かっていませんが、歯に対する機械的な力、炎症、免疫学的異常、カルシウムの代謝、栄養の不均衡などなど様々な要素が関連している可能性があります。

進行性の疾患のため、加齢に伴い罹患している歯が増えていく傾向にあります。

 

〇症状

食欲低下、流涎、嚥下障害、口臭、疼痛などが症状として挙げられますが、無症状の場合も少なくありません。歯肉が発赤し、歯肉炎を生じていることが多いです。

 

〇診断

視診にて歯肉や歯冠の変化を認めますが、大抵の場合、歯石が付着しているので、歯石を除去してからの確認が必要です。

プローブで歯周ポケットや歯質の欠損を確認することでもある程度はわかりますが、最終的にはレントゲンによる評価が必要です。

特に症状を示さない場合は、見えないところに吸収病巣が隠れている可能性があるため、レントゲン検査は重要になります。

レントゲンでの評価は以下の分類がされています。

  • タイプ1:罹患歯の歯根のレントゲン透過性(レントゲンの写り方)が、隣接の健康歯と類似

年齢と関連は低い

  • タイプ2:罹患歯の歯根のレントゲン透過性が、歯槽骨と類似

年齢と関連が高い

吸収病巣

どこの歯に病変が見られるかでも、大方タイプが異なってきます。

吸収病巣2

…タイプ1 …タイプ2が起こりやすい

 

〇治療

タイプによって治療は少し異なります。

歯根が骨に置換されないタイプ1の場合は、抜歯

歯根が骨に置換されるタイプ2の場合は、歯冠切断術

ただし、タイプ2でも炎症がある場合、歯周病変がある場合などケースによっては、歯冠切断術が適さないこともあります。

 

 

猫の吸収病巣について多少は理解していただけたでしょうか?

猫の口は犬に比べて小さいですし、多くの子が犬以上に口に触ることを嫌います。

なので、デンタルケアの難易度はとても高い…

ですが、猫には猫のデンタルケアのやり方があります。

そして、猫には猫の口腔内疾患があり、どんな子でもそれに罹患する可能性があるということも忘れないでくださいね。

 

 

あくびをしている隙で良いので、まずは口の中をのぞいてみましょう!

 

 

獣医師 小川

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