せんなん通信

猫ちゃんにも大切、フィラリア症。

2010.05.07

昔は、大半の猫は外で飼われ、
気が向いたときにだけお家に入るということが多かったのですが、
今は家族として室内で飼われている猫が多くなりました。
事故や感染症の事を考えると完全に室内で飼う事が大切です。
そして、時が経ち、獣医学が進むにつれ、動物を飼う人の知識が向上している事も事実です。

 
犬同様、猫にも感染症予防の『混合ワクチン』がある事は、ほとんどの飼い主さんはご存知だと思います。
しかし、犬では重要視されている『フィラリア症予防』が、猫ではそれほど重要視されていません。
実はフィラリアは猫にも感染する事があります。
犬よりも重症になることがあり、時には突然死することもあるので、犬同様予防が大切です。

フィラリアは本来、犬科の動物に感染するのですが、野良猫の5%がフィラリアに感染していたという調査報告があります。
フィラリアは蚊に刺されることで感染します。
蚊が多い場所に住んでいる猫や、外出する猫は特に気を付ける必要があります。
しかし、蚊の少ない地域でも予防が重要です。
室内飼いだから絶対大丈夫、猫だから大丈夫、と思っていませんか?

犬にとってフィラリア症は命取りであるということは常識になっています。
しかし、全ての犬が予防しているわけではありませんので、フィラリアの感染源になる犬は、まだまだたくさんいます。
特に、山や林・草村などが多い地域では感染している犬が多いので注意が必要です。

◆感染経路
① 感染している犬の心臓や肺の血管にフィラリアが寄生しています。フィラリアのメスは幼虫(ミクロフィラリア)を産み、 ミクロフィラリアは血液と一緒に体中を駆けめぐります。
② 蚊がフィラリア感染犬の血液を吸うときに蚊の体内にミクロフィラリアが入り、2週間ほど蚊の体内で成長します。
③ その蚊が次に犬や猫などの血液を吸った時、唾液腺から動物の表皮に出て、皮下に入ります。
④ そして皮下組織で成長し、血管に侵入します。血流にのって心臓に入り、右心室から肺動脈に移り、成虫になります。
蚊は犬だけではなく猫の血液も吸います。 本来ならば、フィラリアは猫の体内では生きていけないのですが、稀に生き残ることがあり感染してしまう場合があります。

◆寄生する場所
・・・肺動脈や心臓
 (肺動脈や心臓に寄生したフィラリア図)
肺動脈や心臓に寄生したフィラリア

◆フィラリアの寿命
 ・犬 5~6年
 ・猫 2~3年

◆感染したらどうなるの?
心臓に入ったフィラリアはオスで20cm、メスで30cmほどに成長しますが、 猫の場合は犬の3分の2程度しか成長しません。
フィラリアは本来の宿主ではない猫に感染しても、それほど上手に寄生、繁殖できるわけではありません。
犬ではフィラリア(成虫)は、多ければ何十匹も肺動脈や心臓に寄生できるのに対し、猫では多くても数匹程度しか寄生することができません。

心臓や肺の血液の流れが悪くなり、 心臓に負担がかかります。
犬ではフィラリアに感染しても症状が現れるのは数年後ですが、猫では感染して心臓に寄生し始めるとすぐに状態が悪くなります。
フィラリアに対する猫の(体の)拒否反応は犬に比べてかなり強いと言われています。
たとえ1匹でもフィラリアが死ぬと、その虫体から出た有害物質が肺の血管に悪影響を及ぼし、猫はショック状態に陥り、突然死する可能性があります。

◆主な症状
・元気がない
・食欲がない
・咳をする
・お腹が膨らんできた
・血尿が出る

◆検査方法
当院では、犬に対するフィラリアの検査はあります。しかし、猫に寄生するフィラリアの数が少ない為検査をしても検出する事は困難です。
先ほどもお話ししましたが、猫ではフィラリアの成虫が1匹でも体内に寄生していれば命にかかわるので、予防が何よりも重要となります。

◆予防方法
完全室内飼いでも蚊に刺され、感染する可能性があります。犬と同様に、蚊が出始めて一ヵ月後から出終わって一ヶ月後までの、4月から12月頃までです。月に一回予防薬を投与してください。しかし、蚊が出始める時期をしっかりと確認するのは難しいので、確実に予防できるように、通年投与が一番理想的だと言えます。
しかし、猫に薬を飲ませるのはなかなか困難です。錠剤やチュアブルタイプの薬がありますが、猫は味や匂いに敏感なので、なかなか口に入れさせず、飲ませたつもりでもこっそり吐き出していることもあります。
このように薬を飲むのが苦手な猫には、肩甲骨前方の背面部に滴下するスポットタイプの予防薬もあります。フィラリアだけでなく、ノミやミミヒゼンダニ、回虫など複数の寄生虫を同時に駆除・予防できます。

飼い主さんが予防していれば、防げる病気です。
かかる前にしっかりと予防してあげましょう!

看護士 国政 舞由香

 こちらもお読みください。獣医師が書きました
   猫ちゃんにも大切、フィラリア症 Part2

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