せんなん通信

老齢のネコちゃんに多いの慢性腎疾患

2010.03.10

●お水をよく飲む!
● トイレの回数が多い!
● 食欲が落ちている!

これらは慢性腎疾患に多くみられる症状です。
(※他の疾患でも同様の症状がみられることがあります)

慢性腎疾患は、動物病院に来院されている老齢猫の10~30%が罹患している、とても多い病気です。
徐々に体に老廃物がたまり、尿毒症という全身の病気に進行します。

腎臓は、体にたまった老廃物や毒素を尿として排泄し、血液をきれいにする働きをもっています。
また体を維持する為の骨の代謝、造血、水分バランスの調節など重要な役割をもっています。

腎臓は左右2つありますが、症状がほとんどみられなくても血液検査や尿検査で異常が発見された時には、
すでに1.5個分(75%)以上が機能しなくなっています。
そして一度機能しなくなった腎臓は元に戻ることはなく、その後残りの25%も徐々に機能しなくなっていきます。

改善を目的とした治療には腎移植しかありませんが、獣医療の現場ではまだまだ一般的な治療法ではありません。
そのため早期発見と病気の進行を遅らせるための早期治療が重要です。

●早期発見するためには

慢性腎疾患では、尿毒症による「食欲の低下、嘔吐、痩せてくる」などの重篤な症状は、
病気がかなり進行しないと現れません。
はじめは少しずつ飲水、尿の回数の増加がみられる程度です。
小さな変化ですので、普段から注意深く観察してあげて下さい。

また定期的な血液検査、尿検査はとても有用です。
7歳以降では年に1~2回の検査をお勧めします。
当院でも健康診断のために、にゃんにゃんドックを実施しています。

●早期治療とは

一般的な治療方法は、お薬と療法食です。
治療の目的は慢性腎疾患の進行を遅らせることです。
進行していけば、点滴や透析が必要になります。
(当院では透析は行っておりません)

腎臓の療法食は、一般の食餌に比べ、リン、タンパク質、ナトリウムなどの含有量を減らし、
腎不全の進行を遅らせ、高窒素血症のリスクを減らし、高血圧や浮腫を軽減することができます。

たかが食餌と思われるかもしれませんが、
一般食での生存期間中央値(50%のネコちゃんが亡くなるまでの期間)は
250~300日ですが、療法食のみでは600日以上と大きく延長します。
ネコちゃんは食餌の好き嫌いが多いため、
当院では色々なニオイや味を選んでいただけるように幾つかの療法食を扱っています。
すぐには食べてくれない子もいますが、1~2ヶ月かけて徐々に変更すればほとんどの子が食べてくれるようになります。

このようにネコちゃんの慢性腎疾患では、症状のほとんどみられない早期に発見し早期治療を開始することが、
より元気で長生きするための秘訣です。
そのためには日常の小さな変化に敏感になり、定期的に血液検査や尿検査を実施することが重要です。

「症状がないからまだ大丈夫」と油断せずに早期にお薬と療法食での治療を始めてあげましょう。

獣医師 中村俊文

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