せんなん通信

変性性脊髄症のお話

2013.05.02

変性性脊髄症(Degenerative Myelopathy:DM)とは、進行性の脊髄疾患です。
脊髄とは、背骨の中にある太い神経で、足の運動機能や姿勢を保つ機能、
排尿・排便機能、呼吸する機能を司る大変重要な臓器です。
その脊髄が障害を受けると、歩行ができなくなり、排尿・排便障害が起こります。

DMはジャーマンシェパードやボクサーなどの大型犬に発生する病気として知られていましたが、
近年ウェルシュコーギー・ペンブロークでの発生が増えています。

DMは非常にゆっくりと進行し、痛みを伴いません。
そのため飼い主さんが初期の段階で気づいてあげることは難しく、病気がある程度進行してから動物病院に来院されることになります。

初期にはどちらか片方の後ろ足の運動機能が低下します。
大股で歩く、外側に回転して歩くようになった、後ろ足が交差する、爪が地面をこする音が聞こえるようになった・・・このような症状がみられます。

その後、片側の後ろ足から始まった運動失調は反対側にも現れ、歩行時のふらつきや後ろ足の開脚などの症状が起こります。

さらに進行すると後ろ足での体重負荷ができなくなり、後ろ足を引きずって歩くようになります。

その後症状は前足にも出現し起立不能となり、最終的には首を持ち上げることができなくなり、呼吸障害が起こり死に至ります。

現在のところDMに特別な診断方法はなく、病気の診断には複数の検査が必要です。

まずは、後ろ足がふらつく他の原因がないことを、血液検査やレントゲン検査、CT・MRI検査、脳脊髄液の分析検査で確認します。
これらの検査で明らかな異常がなければDMが疑われます。
コーギーは、ダックスフントと同じ軟骨異栄養性犬種といわれる椎間板ヘルニアになりやすい犬種です。
そのため、CT・MRI検査で椎間板ヘルニアが存在しないかどうかを確認する必要があります。
なぜなら、椎間板ヘルニアであれば外科手術で症状を改善させることができるからです。

DMにはある特定の遺伝子が関わっているといわれており、その研究は世界でもすすめられています。
しかし現段階ではDM発症のリスクを推測するための検査でしかありません。
そのため、遺伝子検査だけで診断を確定することは困難なのです。

残念ながら、DMに対する根本的な治療法はありません。
サプリメントなども賛否両論です。
治療の主な目的は筋肉の委縮を抑え、症状の進行を予防することとなります。
そのためリハビリが必要になりますが、病気が進行した状態でのリハビリは筋肉に負担がかかり逆効果となることもあります。

【気を付けたい日常のケア】

・体重管理
 末期の状態まで食欲が衰えることはなく、体重が増加する傾向にあります。
 弱った足に肥満は負担となるため、減量が必要となります。

・爪や足先が擦りむいた状態になってしまうので、靴下や靴を履かせるなどして保護する。

・排尿が完全にできないために膀胱炎を発症しやすくなるので、定期的に尿検査を行い、膀胱炎が認められたら治療を適宜行う。

・起立不能になると床ずれができてしまうので体位変換を定期的に行う。

・呼吸機能が低下するので無理なストレスをかけない。
 また、特に夏場は熱中症を起こしやすくなるので室内でも体温調節に気をつける。

リハビリの方法や詳しい病気の話が聞きたい方は動物病院までお問い合わせください。

 

獣医師 宮崎 絢

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