せんなん通信

ワンちゃんの咳にご注意!

2011.02.01

ワンちゃんの咳にご注意!

 

新年を迎え、寒さもさらに磨きがかかってきました。このような季節には私たち人間はよく風邪をひきます。

「犬も咳するの!?」とよく聞かれることがありますが、犬も人とは異なりますが、風邪(ケンネルコフといいます)をひいて咳をすることがあります。

しかし、咳をしていても風邪だけが原因とは限りません。

                                          正常な胸部レントゲン写真

 レントゲン

<当院でよくみられる犬の咳や呼吸困難の原因>                    

  • ケンネルコフ
  • 気管虚脱
  • 心臓病
  • フィラリア症
  • 肺腫瘍

 

 レントゲン2

ケンネルコフは、ウイルスや細菌などの感染が原因です。混合ワクチンである程度防ぐことが出来ますが、子犬や老犬など免疫力の弱いワンちゃんが感染してしまうと、肺炎にまで進行し命に関わることもあります。

 

気管虚脱は、ガーガーとアヒルの鳴き声のような咳が特徴です。気管(口から肺に空気を送る管)が様々な原因により変形し、気道が狭くなる病気です。特に「高齢の小型犬、肥満犬」に多く発症します。初期であれば、お薬の投与、減量、運動の制限などにより症状を抑えることができます。しかし放っておくと気管が炎症を起こし腫れてしまい、さらに気道が狭くなってしまいます。十分な呼吸が出来なくなると、失神して倒れてしまうこともあります。

 

 

気管虚脱:気管(黒い管)が著しく細くなっています

 気管虚脱気管虚脱

心臓病にも様々な病気がありますが、特に多いのは「僧帽弁閉鎖不全症」という高齢の小型犬に多くみられる病気です。心臓の中で血液が逆流することで、血液を全身に送るポンプとしての働きが十分には出来なくなってしまいます。咳の原因は心臓の拡大による気管の圧迫や、循環不全による肺水腫(肺に水がたまる状態)などがあげられます。肺水腫は呼吸が出来なくなるため、救急の治療が必要になります。

胸水胸水

・心臓が拡大している

・肺に水がたまって白くなっている(矢印)

 

 

フィラリア症はご存知の方も多いと思います。フィラリアという寄生虫が心臓や肺の血管に寄生する病気です。フィラリアの幼虫であるミクロフィラリアが原因でアレルギー性の肺炎を起こしたり、長期間多数のフィラリアが寄生することにより肺の血管に異常をきたすことが咳の原因となる場合があります。この他にも心不全や、急性フィラリア症(Venae Cavae Syndrome:大静脈症候群)といわれる突然の虚脱や血尿、そして数日で死に至る重篤な症状がみられることもあります。

フィラリアフィラリア 

 

・フィラリア感染により肺炎を起こし、肺が白く見えます(矢印)

・心臓が拡大、変形しています

肺腫瘍には原発性、転移性の腫瘍がみられます。原発性とは突然肺に出来てしまう腫瘍のことをいい、転移性とは他の部位に出来た腫瘍が肺に転移することが原因です。転移性の場合はもともとある腫瘍により何らかの症状がみられることがありますが、肺腫瘍ではどちらの場合でも初めはほぼ無症状であり、呼吸状態の悪化や咳がみられた場合には残念ながら末期であることが多いのです。

肺腫瘍肺腫瘍

・乳腺癌が肺に転移した、未避妊のワンちゃんです

・腫瘍の塊が複数存在しています(矢印)

 原因はこれらだけではありませんが、このように単に咳をしているだけでも色々な病気が隠れていることがあります。 

最近おうちのワンちゃんは咳をしていませんか?

咳くらい大丈夫だろうと様子をみていませんか?

ちょっとした咳が命に関わる重篤な病気のサインかもしれません。「そういえばうちの子、時々咳をしているな」、「これは咳をしているのかな?」と思ったら一度当院にご相談ください。

 

獣医師 中村俊文

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