せんなん通信

野生鳥獣について

2010.11.20

街や山の中で野生鳥獣(野生の鳥や動物)に出会ったことはありますか?
怪我や病気で苦しんでいる野生鳥獣を見つけたことはありますか??

野生鳥獣と私たち人間が関わる時には、たくさんの考え方とルールがあります。
私たち人間側の基準で野生鳥獣を保護することが、
その子達にとって本当に幸せなこととはいえない場合もあります。
当院にも「怪我をしているようだ」、「道にうずくまっていた」といって
野生鳥獣が連れてこられることがあります。

しかし安易に保護することが野生鳥獣にとって本当に良いことでしょうか?
その行為は、‘食べる食べられる’という自然界の掟を破ることになり、
動物を故郷から引き離すことにもなりかねません。

今回は、野生鳥獣を見つけたときの対応についてお話します。

1.ヒナを見つけたら

「弱って動けなくなっている幼鳥を保護した」と言って病院に連れてくる方がいます。
しかし親から離れ、独りぼっちで飛べないヒナを見かけたとしても、拾ってきてはいけません。
その子は迷子ではないからです。
雛が独りでいるとき、餌を捕りに行った親を待っていたり、
親が遠くから見守る中、飛ぶ練習をしている場合が大半です。
このようなヒナを保護することは、親元から無理矢理引き離す‘誘拐’にあたります。

発見した当日は現場から立ち去り、気になる人は近くの茂みに放したり
木の枝に止まらせて次の日にもう1度様子を見に行って下さい。
大抵は人間が立ち去ったのち、親鳥が子を安全な場所へ連れて行きます。
もし次の日も親鳥がおらず、衰弱している様子なら保護して下さい。

2.弱っている大人の鳥獣を見つけたら

ある程度の怪我や一時的なショック状態であれば、
時間がたつと回復して元気に動き回りますので遠く離れてしばらく様子を見てください。
もしも道路の真ん中でうずくまっているのであれば、
安全な場所まで移動させてあげても良いでしょう。
しばらく様子を見ていても変わらない場合や、
明らかな怪我や出血がある場合には、保護してください。

3.保護するときには

保護を考えた場合、所定の専門機関に連絡してください。
野生鳥獣を無断で保護した場合、違法捕獲にあたります。
連絡した後の対応は担当者の指示に従いましょう。
しかし保護はあくまでも当事者のボランティア精神に基づくものであり、
保護した後の移動や世話は責任を持って保護した方が行ってください。
動物病院や大阪府の担当機関が代わって世話をすることはできません。

担当機関

大阪府 環境農林水産部 緑の環境整備室

大阪府 農と緑の総合事務所

4.保護時の注意点

相手はペットではなく野生動物です。
人間側が保護のつもりで近寄ったとしても、彼らはそれを理解できません。
たとえ弱っていたとしても、懇親の力を振り絞って抵抗してくる場合があります。
常に緊張感を持って捕獲してください。

強引に捕獲したり、必要以上に追い掛け回すと体力を消耗させることになります。
無理はしないでください。
また捕獲時には手袋を使用し、捕獲後は必ず手を洗ってください。
野生鳥獣は様々な病原菌や寄生虫を持っています。

捕獲後、身体を見た結果、特に問題がなさそうであれば保護した場所に放獣してください。
そこは彼らの故郷だからです。

今後も山や川を訪れた時、日常生活などで野生の鳥獣に出会うと思います。
もしその子達が人間の目から見て保護を必要としていそうであっても、
保護する前に1度立ち止まって、その子達にとって何が1番幸せなのかを考えてあげましょう。

また野生鳥獣が町の中で保護される原因の一つは、
野生鳥獣たちの住処である山や川が環境破壊によって失われ、
彼らが街中に下りてくる事にあります。
そうして街中にやってきた彼らは交通事故などにあい、傷ついてしまうのです。
彼らの事を思うのであれば、傷ついた彼らを保護するだけではなく、
彼らの住処を大切にして傷つけないないようにしましょう。

野生鳥獣の保護についてわからない事があれば、何でもご相談下さい。

獣医師 伊原 宏美

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