せんなん通信

海外旅行で狂犬病?

2018.05.23

みなさま、こんにちは。だいぶ暖かくなり、お散歩が楽しい時期になって来ましたね。

春は予防シーズンということで動物病院は忙しくなるので、その前にお休みをいただいてロシアに海外旅行に行ってきたのですが…。
その旅行中に気になる事がありました。一緒にロシアに行った友人が、現地で飼われているわんちゃんや野良のわんちゃんに近づき、良い子そうだからと、あろうことか触ろうとしました。友人も動物が大好きなので、あまり考えずに近づいて行ってしまったようですが…。みなさまは心当たり、ありませんか?私もすぐにヨシヨシしてあげたくなってしまうのですが、そこはグッとこらえなくてはなりません。

狂犬病の発生状況
なぜ海外で動物に触ることがいけないのでしょうか?
それは、あらゆる感染症、寄生虫、日本にない病気などに感染するリスクが高くなってしまうからです。その中でも命に関わるもっとも危険なものは狂犬病です。
RV
このように、世界中のほとんどの地域で狂犬病は発生しています。
中国では、食用として飼われている犬や野良犬の頭数が多く、狂犬病予防実施率も0.5%とほとんど効果がないため、人への被害も甚大なものになっています。さらに、未登録の犬が多く予防件数の把握が出来ず、狂犬病がまん延した際も予防済の犬を含む大量処分となりました。
他にも、狂犬病洗浄地域であった台湾で、2013年にアナグマの感染が確認されています。
世界中でこれほど発生しているにも関わらず、日本は狂犬病清浄地域であるため、旅行等で海外へ出かけても危険性を認識している人が少なく、むやみに野生動物と触れ合ってしまい、咬まれるケースが後をたたないのだそうです。
法律で決められているから、よくわからないけど予防接種だけしておこう…ではなく、いまいちど狂犬病についておさらいしておきましょう。

狂犬病とは?
狂犬病に感染した哺乳類(特にイヌ、ネコ、コウモリ)に噛まれることによって、人も感染する「人獣共通感染症」です。さらに、発症すると人も動物もほぼ100%死に至る病気です。
■感染
咬まれるだけでなく、感染している動物の唾液中にウイルスが含まれるため、傷口、目、口などの粘膜部分を舐められるだけでも危険です。
■症状
人では神経症状(恐水症、恐風症、けいれん)、錯乱、高熱、麻痺、運動失調、呼吸器症状ののち死に至ります。犬は興奮し攻撃的になる狂騒型と徐々に全身に麻痺が広がる麻痺型に分かれます。
■治療
発症してしまうと死に至るため、人では、咬まれた直後に狂犬病ワクチンを接種し、ワクチンプログラムを受けることで発症を抑えることが出来ます。動物の場合、治療は行いません。

覚えておいてほしいこと
■海外ではむやみに動物に触らない
狂犬病は、前述した通り犬だけでなくすべての哺乳類に感染します。海外へ出かける際は自分自身の命を守るために、犬だけでなく、どんな動物も触らないようにしましょう。また、狂犬病が発生していない地域であっても、その他感染症や寄生虫など、その地域特有の病気もあるので、国外へ行った場合どこであっても、動物にはむやみに近づかないようにしましょう。野生動物の多い地域に行く場合は、前もって感染症などの情報を収集しておきましょう。
■予防をする
現在日本で狂犬病が発生していない大きな理由は「法律が定められていて、予防率が高いこと」「島国であること」です。昔日本で狂犬病が流行した際、対処として野良犬たちの大量処分がありました。現在の日本では、狂犬病が発生したとしても処分まではいかないかもしれませんが、少なくとも行動範囲が制限されたり、今と同じ生活は送れなくなる可能性が高くなります。離れ離れになってしまったり、外に連れて出してあげられなかったり、そんなにつらいことはありません。
また、島国で地理的に有利であっても、すぐ隣の国で発症していますし、ヒアリの時のようにいつ侵入してきてもおかしくありません。もしも侵入してきた時に、しっかりと予防できていることで、流行を防ぐことが出来ます。
日本では、わんちゃんのご家族さまがしっかりと予防してくれているため、動物たちや私たちの命の安全、幸せな生活が守られています。予防の重要性を知って、これからも忘れず予防をしていきましょう。

猫ちゃんのご家族さま
狂犬病はすべての哺乳類に感染するので、ねこちゃんも例外ではありません。うちの子、狂犬病ワクチンを打たなくていいのかな?と疑問に思われるかと思います。
日本では、猫ちゃんの狂犬病ワクチン接種は、ワンちゃんのように法律で義務付けされておらず、基本的には必要ありません。しかし、よく外に出歩いていたりして、ご家族さまがご心配であれば狂犬病ワクチンを打つことができます。当院でもワクチン接種が可能なので、いつでもご相談くださいね。
※海外へ渡航される場合のみ、渡航する地域によってはワクチン接種が必須です。

看護師 道下

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