せんなん通信

犬のフィラリア症

2018.04.07

春になり、今年もまた蚊が発生する時期となってしまいました。
フィラリア症の予防を始められたワンちゃんのご家族も多いのではないでしょうか。
今回は、ワンちゃんのフィラリア症について再確認してみようと思います。

全国で犬フィラリア症にかかっているワンちゃんは35,415頭います(2006年メリアル・ジャパン株式会社調べ)。
ですが、野良犬や検査を行っていない犬もいるため、実際は数十万頭が罹患していると考えられています。
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<感染の経路>
フィラリア症の感染は、まずは感染してしまっているワンちゃんから蚊が吸血し、フィラリアが蚊の中に取り込まれることからスタートします。
そこからさらに、未感染のワンちゃんが、フィラリアを保持している蚊に吸血されることで、新たに体内に取り込まれてしまうのです。
ワンちゃんの体の中にフィラリアが入り込むと、まずは皮膚の下で生活し、徐々に成長していきます。
約2カ月で準備が整うと、血管へと移動し、寄生する場所である心臓や肺の血管へと向かっていきます。
寄生場所に辿り着いてからもさらに成長し続け、成虫になるまでは約6カ月かかります。
成虫のオスとメスが揃うと、新しくミクロフィラリアと呼ばれる幼虫を産み出します。

<症状>
咳・呼吸困難・疲れやすい・腹水などの症状に加え、腎臓や肝臓の働きに影響が出ることで、より深刻な症状となってしまいます。
また、急性の症状の場合は、赤い尿が確認されたり、ショック状態に陥ってしまうこともあります。
どちらの場合も、放置すると亡くなってしまう可能性があり、非常に危険な状態です。

<検査>

もし感染してしまっている状態で投薬を開始してしまうと、
食欲不振、嘔吐、下痢、けいれん、よだれ、皮膚のアレルギー症状(赤くなる・痒くなる)、
ひどい場合はショック状態に陥ってしまうことがあります。
この症状を予防するために、毎年フィラリアに感染していないかを検査し、前年度の予防が確実に行えたかを確認する必要があります。
検査法にも種類がいくつかありますが、当院で行っているのは、フィルター集虫法と抗原検査です。

〇フィルター集虫法
ワンちゃんの血液を専用のフィルターに通し、ミクロフィラリアを検出します。
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〇抗原検査
メスの成虫から分泌される物質を検出します。
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ワンちゃんの予防がどれだけ忘れずできているかによって、必要な検査が変わってきます。
うちの子に必要な検査はどれだろう?とお思いの方は、獣医師にご確認ください。

<治療法>
手術による外科的摘出と駆虫薬を用いた内科的治療があります。
外科的摘出にて寄生しているフィラリアを直接除去する方法が一番ですが、非常にリスクが高い手術となります。
そのため、症状がない場合は内科的治療を行いますが、
この治療は成虫の寿命を待つ治療になるため、フィラリアがいなくなるまで時間がかかってしまいます
また、症状が出ている場合は、その症状に対しての治療も行わなければなりません。
どの治療も危険を伴うものとなるため、重要なのはやはり予防を確実に行うことです。

<予防>
予防薬は、投与した際に感染したフィラリアを駆虫する効果がありますが、一カ月間効果が持続するわけではありません。
ではどうして一カ月ごとの駆虫が必要なのでしょうか?
実はフィラリアが体内に侵入してから一カ月以上経って成長したフィラリアには、駆虫効果が得られなくなってしまうんです。
一カ月毎に投薬することで、確実に予防してあげることができます。
お薬には、飲み薬・皮膚に垂らすスポットタイプ・忘れっぽい方には一年間効果が持続する注射薬もあります。
愛犬の命を守るために、毎月の予防をお忘れなく!

獣医師 長尾

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