せんなん通信

野生動物の保護について

2017.10.14

時折、地域の方が野生動物を保護されて病院に連れて来られることがあります。鳥のヒナや野ウサギ、イノシシの赤ちゃん等が運び込まれます。しかしながら、みなさんの優しさが、野生動物にとって“迷惑”になってしまっていることがあります。

泉州地域にもイノシシが生息している場所があります。イノシシの子どもの「うり坊」はとってもかわいらしいですが、近くには親がいます。うり坊に近づくと親イノシシに襲われる危険がありますので、むやみに近づかないで下さい。

地面に落ちている鳥のヒナを見かけられたら、「かわいそう」「助けてあげないと!」と思われるかもしれません。しかし、実は親から離れてひとりぼっちでいても“迷子”ではないこともあります。このような場合は巣立ち間近で、飛ぶ練習をしている最中に巣から落ちてしまったヒナであることが多く、巣が近くにあったり、親が近くにいたりします。その親は、人の姿が見えなくなるとヒナの世話をしに戻ります。人が離れないとかえって親鳥がヒナに近づくことができないので、すぐにその場から離れてあげて下さい。もし、そんなヒナを拾ってしまうと、親から無理矢理引き離してしまう“誘拐救護”になってしまいます。かわいそうだからといって連れて帰るのはやめましょう。

もしもヒナがネコやカラスに襲われそうになっている時は、近くの茂みに隠してあげて下さい。親鳥は姿が見えなくても声で気付くことができます。こんな時も連れて帰るのはやめましょう。けがをしている場合や、じっとして全く動かない場合、まずは、都道府県の鳥獣保護担当部署にご相談ください(泉州地域の場合、泉州農と緑の総合事務所 みどり環境課)。けがをしている、動かないといっても、勝手に野生動物を捕まえることは法律(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律)に違反する場合もあります。

もしも、やむをえず野生動物を触る場合は、必ず軍手などの手袋をして直接触らないようにしてください。野生動物は感染症などの病気を持っていることや、マダニなどの寄生虫がついていることがあります。先日、病院に運び込まれたうり坊にも数えきれないくらいのマダニが付いていました。野生動物から人にもうつる病気(人獣共通感染症)の中には命に関わるものもありますので、十分にご注意ください。

目の前に傷つき、弱っている動物がいたら、いたわりの気持ちを持って助けたくなるのは当然だと思います。人間の活動で傷ついてしまう野生動物もいるかと思います。大阪府では、「傷病野生鳥獣救護ドクター制度」という制度を設けています。傷ついた野生動物を発見された時は、都道府県の鳥獣保護担当部署にご相談ください。原則はそっとしておいてもらうことをお願いしますが、必要に応じて傷病野生鳥獣救護ドクターを紹介してもらうことができます。もちろん、わからないことがありましたら当院にもご相談ください。

獣医師 田中

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