せんなん通信

身近に起こるペットの中毒

2017.02.02

今月は家庭で起こる中毒をテーマに、書かせていただこうと思います。ご家庭にある身近なものでもペットが中毒を起こすことがあります。また、私たちが食べるものがペットにとっては毒になってしまうものがあります。その例を下に記します。

チョコレートに含まれるテオブロミンは興奮や神経障害を引き起こし、大量摂取した場合は昏睡状態となる場合もあります。5kgの犬がカカオ成分の含有量が多いダークチョコレートを100g食べてしまうと命を落としてしまう可能性があります。

犬、猫がタマネギを摂取すると赤血球が壊れてしまい、貧血になってしまいます。5kgの犬の場合、100gを超える量を食べてしまうと命に関わる危険があります。また、タマネギをそのまま直接食べる場合に限らず、その煮汁を飲んだときにも中毒が起こるため注意が必要です。

人用のガムに含まれるキシリトールは犬で急激なインスリンの上昇を起こし、低血糖を招きます。低血糖を起こすとふらつき、意識の低下などの神経症状が起こります。10kgの犬でも1粒のキシリトールガムを食べただけでも中毒を起こし、命の危険となる可能性があるので注意が必要です。

果物の中では、ブドウ(レーズン)は犬、猫が食べてしまうと嘔吐や意識混濁などの症状を起こします。また、腎不全を引き起こすこともあるため、ほかの果物と違い注意が必要です。

上に挙げたものはほんの一部に過ぎません。この他にも中毒を起こす可能性があるものは家庭にあふれています。食べ物だけではありません。人用のお薬、観葉植物、殺虫剤などなど、ここに書ききれないほどたくさんあります。また、中毒を起こしてしまう量はその子その子で様々で、少量でも中毒症状が現れ、命に関わる場合もあります。では、そういったものからペットを守るにはどうすれば良いのでしょうか。

ポイントは2つあります。

①誤食の機会を与えないこと

②奪い合い競争をしないこと

以上の2つです。

①誤食の機会を与えないようにするには、物をペットの口が届かない場所に置く必要があります。ただし、棚やテーブルの上に置いてあるものはジャンプして取ることが出来るかもしれないので油断は禁物です。もちろん床に落ちているものにも注意を払う必要があります。また、ゴミ箱はフタ付きのものにして中のものを取れないようにしてください。一度でも物を盗んで「美味しい!」、「(人に追いかけてもらえるので)楽しい!」という経験をすると、それを記憶し繰り返してしまうため、そのような機会を作らないことが大切です。

②ペットが食べてはいけないような物を口にくわえているのを目にすると、飼い主様はつい追いかけて取り上げようとしてしまうと思います。ペットは奪い合い競争をすると「遊んでもらっている!楽しい!」と思ってしまい、あるいは自分の大事なものを取られると勘違いしてより一層逃げ回ろうとします。最後には飲み込んでしまう可能性もあります。そういったことにならないように、もしペットが物をくわえている場面に出くわしたら、叱ったり、なだめたりもせずに無言で口の中のものを取り上げるようにしてください。取り上げたあともしばらく叱ったりせず、かまわないようにしてください。

万が一、誤食してしまった場合は、まずよく状態を観察してください。意識はあるか、呼吸はしているか、嘔吐はないか、出血はないかなどよく見てあげてください。その上で病院に電話し、その旨をお伝えください。あらかじめお電話いただいた方がより迅速な対応ができる可能性が高まります。来院していただく際は誤食したものが分かるようなもの、つまり飲み込んだものと同じものやそのパッケージなどを持参していただけるとより適切な対応ができます。誤食に出くわしたときはとても驚き、慌ててしまうと思いますが、飼い主様の落ち着いた対応がペットの命を守る結果につながります。

獣医師 田中

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