せんなん通信

なんとなく食欲がなく、たまに吐く老齢の猫ちゃん ~消化器型リンパ腫~

2014.11.01

・元気なんだけど、最近少しずつ食べる量が減ってきた。

・1週間に1回くらい吐く。

このように、重篤な症状を示さないのですが、食欲不振や嘔吐がなかなか治らない老齢の猫ちゃんがよく来院されます。

 

一過性の胃腸炎で、点滴や吐き気止めなどの治療を行うことでよくなる子もいますが、中には腎臓病や膵炎、腫瘍などが隠れている場合があります。
このような病気をもっている猫ちゃんは上記の症状に加えて、体重の減少がみられることが多いです。

今回はそのような隠れている病気の一つ、「消化器型リンパ腫」についてお話ししたいと思います。

猫ちゃんの消化器型リンパ腫とは?
→リンパ腫とは体の中のリンパ組織が癌化したもので、その中でも胃や腸などの消化管内のリンパ組織が癌化したものを「消化器型リンパ腫」と言います。

症状は?
→上述したとおりなんとなく食欲がなく、たまに吐くという症状しかみられず、「歳のせいかな?」と間違われることも多いです。


診断は?
→血液検査やレントゲン検査、超音波検査などでは異常がみられることは少ないため、これらの検査では見つけることが難しく、
診断には内視鏡下や開腹下で腸の一部を切り取る検査が必要となることもあります。

治療は?
→リンパ腫は血液を介して全身に転移しやすい腫瘍ですので、手術ではなく抗癌剤を用いた治療を行います。

抗癌剤と聞くと、全身の毛が抜けたり、吐き気を催したりといった人での強い副作用のイメージがあります。
しかし、動物での抗癌剤治療の目標は動物が楽に生活できる時間を可能な限り延ばしてあげることであり、
人よりも抗癌剤の使用量が少ないため、人のような強い副作用はあまりみられません。

消化器型リンパ腫の場合も、食欲がない、吐くなどといった症状を改善させるために抗癌剤を使用します。
また、猫ちゃんの消化器型リンパ腫は、進行の遅いものが多く、抗癌剤治療を行うことで、2年以上癌が進行しない場合もあります。

今回は消化器型リンパ腫という聞きなれない病気についてお話しました。
この病気は重篤な症状を示さないので、なかなか麻酔をかけての検査にも踏み込みにくいですが、
治療をしないと症状の改善がみられませんし、治療をすることで長期間症状を抑えることが可能です。

ですので、「最近食欲が落ちてきた」、「たまに吐く」という症状がみられた場合は、まずは体重だけでも測りに来てください。
体重が減っているようであればもしかするとこの病気が隠れているかもしれません。

 

獣医師 伊藤 敏生

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