せんなん通信

犬の緑内障のおはなし

2019.06.12

犬の目が赤くて、痛そうな時、すぐに病院に連れていっていますか?
目にゴミでも入ったかな?
ちょっと様子をみたら治るかも。
・・・そんな風に思っていませんか?
その症状、もしかしたら緑内障かもしれません。
人間同様、緑内障は失明する可能性のある怖い病気です。
今日は緑内障についてのお話です。

緑内障とは?

眼球の中を循環している眼房水(がんぼうすい)が何らかの理由で溜まることにより、眼内の圧力(眼圧)が上昇し、網膜や視神経が影響を受け、視覚障害や眼に痛みをおこす病気です。
日本では緑内障は柴犬、アメリカンコッカースパニエル、シーズーに多いといわれています。
原因によって、原発性(生まれつき、眼房水の排泄に異常がある場合)と、続発性(ブドウ膜炎、水晶体脱臼、外傷や腫瘍などが原因で起こる場合)に分けられます。

症状は?

緑内障の症状は眼圧上昇の程度により様々で、最初に起こるのは、結膜炎・上強膜炎による充血、目の痛み(目を細めて、涙を流している)です。また視神経に障害を受けると視野が挟まり、散瞳(瞳孔が開きっぱなしになる)します。また眼圧の上昇が続けば、眼球突出(牛眼)し、視神経は取り返しのつかない障害を受け、最後には失明します。

診断するには?

緑内障の診断には、眼圧の測定や眼底検査が必要で、原因の特定には各種眼科検査を行います。

治療は?

治療は眼圧を制御するための投薬(点眼)が主になりますが、場合により外科的治療も行います。また続発性緑内障の場合、原因疾患も治療します。
慢性的な緑内障で、すでに失明している場合、治療の目的は眼の痛みや不快感を和らげることを重視します。そこで眼球が拡張し起こってくる角膜炎や不快感を減らすため、また緑内障の治療を終了するために、眼球の摘出や、眼球内シリコンボール移植術(眼内の義眼)を行うことになります。
原発性緑内障であるならば両眼に発生するため、正常眼に対しても予防的治療を開始したほうが正常眼の発症時期を遅らせることができます。

緑内障は早期発見、早期治療がとても大事です。
気になる眼の症状がある場合は、お近くの動物病院を受診してください。

獣医師 伊原宏美

犬の白内障のおはなし

2017.01.02

愛犬の目が白く濁っている気がする…

ドキッとする瞬間ですよね。

最近では、「うちの子もとうとう、白内障になったかしら?」 と心配して来院されるご家族の方も少なくありません。

一方で気になってはいるけれども、「年を取ったら、白内障になるもの。今は目が見えていようだし、様子を見ようかしら…」と考えるご家族の方も多いのではないでしょうか。

しかし、白内障は進行すると失明に至り、様々な合併症を引き起こす病気です。

愛犬の目を守るためにも、犬の白内障について知ってください。

 

◎白内障とは?どんな症状??

白内障とは、眼の水晶体(レンズ)が白く濁って、光を通さなくなり、進行すると失明する病気です。

眼が見えなった時の症状には次のものがあります。

  • ・ものにぶつかる、つまずく
  • ・ボール遊びなどをしなくなる
  • ・壁伝いに歩く
  • ・神経質になり、わずかな物音に驚く
  • ・不安から攻撃性が増す

初期のころは、夜暗い時にだけこれらの症状が現れます(夜盲)。

 

 

◎白内障の分類

最も一般的にみられる白内障は、6歳以上から発症する老齢性白内障です。遺伝により5歳以下の若齢で発生するものや、糖尿病や重度外傷、網膜変性などの様々な原因から続発するものもあります。

遺伝による好発犬種としては、トイプードル、ヨークシャーテリア、アメリカン・コッカー・スパニエル、ボストンテリア、柴犬などが代表的です

 

白内障は濁りの程度により、4つの病期に分類されます。

初発期、未熟期(写真1)、成熟期(写真2)、過熟期です。

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写真1                       写真2

早ければ未熟期より合併症が出始め、成熟期になると視覚を喪失し、過熟期になると合併症の頻度が増えます。

合併症は、ブドウ膜炎や緑内障、網膜剥離、水晶体脱臼などで、どれも目に痛みが出たり、失明したりする重大な病気です。

 

これらの病期や合併症の有無を判断するために、病院では細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ検査)や眼圧検査、眼底検査などの眼科検査を行います。

 

◎白内障の治療は?

現在、白内障による視力低下を改善するための唯一の治療は、外科手術です。

病気の初期に進行を抑えるためにサプリメントや点眼薬(内科治療)が使用されることはあります。

白内障が進行し視覚障害が現われた場合は、手術により濁った水晶体を除去し(白内障手術)、人工水晶体の挿入(眼内レンズ挿入術)が行なわれます。

人間の白内障手術は日帰りが一般的ですが、犬の白内障の手術は全身麻酔をかけておこない、数日から1週間ほどの入院が必要です。

病期が進行し、合併症がおこることで、手術の成功率が下がり、術後の合併症も増加します。

そのため、白内障は早期に発見し、合併症の予防を行いながら、手術の時期を見極めていくことがとても大切です。

 

残念ながら、年齢や持病が原因で全身麻酔に耐えられない場合や、性格的に術後管理が難しいと判断された場合は、手術をうけることができません。しかしその場合にも白内障による合併症を最小限にするために、定期健診と内科治療が欠かせません。

 

 

◎番外編:実は白内障じゃないかも??

実は、水晶体が白く見えるからといって、必ずしも白内障というわけではありません。加齢に伴い水晶体の核の部分が固くなり、白く変化していく核硬化症という病気もあります。各硬化症は白内障と違い、光を通しますので視覚障害を起こすことはまずありません。(写真3)

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写真3

いずれの場合にも目の中の状態をご家庭で判断することは難しいですよね。

少しでも気になる症状がありましたら、獣医師にご相談ください。

 

獣医師 伊原 宏美

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