せんなん通信

マダニによる予期せぬ感染症~バベシア症~

2019.02.20

バベシア症とは?

バベシア症とは、マダニが運ぶバベシアという原虫によって引き起こされる感染症です。
バベシアは、犬の赤血球に住み着き、これを壊してしまうため、貧血を引き起こします。
貧血により、食欲や元気が落ちてしまうことはもちろん、発熱や黄疸、赤い尿が出てくることもあります。
貧血がさらに進むと命に関わることもあり、とても怖い病気です。

治療薬として、バベシアの駆虫薬はありますが、100%効果がある薬は開発されておらず、もし駆虫薬が効かなかった場合、現時点で治療法はありません。
また、薬の効果がでてくるまで少し時間がかかるため、その間に輸血が何回も必要になったり、亡くなることがあるのが現状です。
さらに、一度貧血の症状が改善されたとしても、バベシアを完全に犬の体から駆虫することは難しく、何かのきっかけで症状が再発することもあります。
このように、バベシア症になってしまうと、治療が困難になることが多いため、バベシア症にならないようにすることが大切です。

バベシア症の予防

バベシア症を予防するためには、1ヶ月に1回マダニを予防できる薬を使用します。
この予防薬の投薬により数十時間~数日でマダニは死亡します。
皮膚につけるタイプのものからおやつ感覚で食べられるものまで、様々な種類の予防薬が発売されていますので、犬の性格に応じて選ぶことができます。
ただ、マダニが寄生してから予防薬が効くまでに少し時間がかかります。
マダニがたくさんいる公園の草むらや山の中などに連れて行った場合、マダニが犬の体表についてしまいバベシアが体内に入ってしまうこともあります。
予防薬を使用していればマダニは数日以内に死亡しますが、マダニがつきそうな場所へのお散歩を避けることです。
マダニには季節性はなく年中ついてしまう可能性があり、特に春から夏にかけては要注意です。
また、マダニは人にもSFTSと呼ばれる重篤な感染症を引き起こしますので、ご家族も気を付けましょう。

フィラリア症と同じくとても怖い病気ですが、予防していれば高確率で感染が防げる病気です。しっかり予防して愛犬とのお散歩を楽しみましょう!

獣医師 松本理沙

夏本番、動物たちの暑さ対策は大丈夫?

2018.08.05

こんにちは、動物看護師の木村です。
夏本番と言えるこの時期、キャンプやマリンスポーツなど外でのイベントごとがたくさんあり楽しい時期ですが、
今年は本当に暑い!外に出るのが嫌になるほど暑い!楽しみも半減にしてしまうくらいです。
この暑さのためか例年以上に熱中症対策がテレビなどで伝えられています。
そんな中でも動物たちの熱中症対策はあまり伝えられていないのが悲しい事実です。
ニュースなどで報じられる熱中症に関して、成人より高齢者・子供の方が熱中症になりやすいとは言われていますが、実は高齢者や子供よりも体も小さい動物たちの方が熱中症になりやすく、さらに人と同じように子犬・子猫、老犬・老猫の方が熱中症になりやすいと言われています。
なぜ、人よりも動物たちの方が熱中症になりやすいのか?
体の大きさもですが、人より地面の近くで生活しているため、地面からの熱を直接受けてしまいます。
そのためこの時期、ワンちゃんの散歩を昼間に行くのはとても危険です
このように体の大きさや人との生活スタイルの違いなどから熱中症になりやすいと言われています。
また、動物たちは「暑い!!」と言葉では訴えることが出来ないため熱中症の症状がみられてからご家族がはじめて「暑かったんだ。」と気づく事があります。

このような事を少しでも知って頂き、日ごとの動物たちとの生活に注意を払っていただければと思います。
また、ワンちゃん・ネコちゃんの中でもさらに熱中症になりやすい特徴があります。

熱中症になりやすい犬種・猫種、特徴
◆北国出身の動物たち
犬種:秋田犬、シベリアンハスキー、アラスカン・マラミュートなど
猫種:メインクーン、ノルウェージャンフォレストキャットなど
寒い地域が原産のため被毛は厚く、夏は苦手です。

◆鼻ペチャは体温調節が苦手
犬種:パグ、シーズー、フレンチブルドックなど
猫種:ペルシャ、ヒマラヤンなど
ワンちゃん・ネコちゃんは人と違い汗をかくことで体温調節を行いません。
ワンちゃん・ネコちゃんは呼吸で体温調節を行っています。鼻ペチャの子たちはもともと鼻の穴が狭かったり、のどの奥の軟口蓋という部分が長かったりと呼吸がしづらいため、熱中症のリスクが高くなります。

◆持病がある動物たち
重度の心臓病や呼吸器系に病気がある場合は熱中症になりやすく、肥満傾向にある場合も熱中症になりやすいと言われています。
また、一度熱中症になると体温調節が苦手になることがあります。

◆子犬・子猫、老犬・老猫
成犬・成猫に比べると体力が少ないため、熱中症になりやすいと言われています。
こちらは人も同じですね。

これらの特徴に当てはまる場合は他の子に比べると熱中症になりやすい為、十分に注意しましょう。

それでは、熱中症にならないために出来ることは何があるでしょうか?
「水分補給を行い、暑さ対策を行う。」人の熱中症予防でよく耳にすることですが、動物たちの場合はこれらのポイントに注意しましょう。

熱中症にならないために出来ること
◆出かける時はエアコンで室内を涼しく
動物たちはどうしても留守番が多くなります。暑さが厳しい時期には、閉め切った室内は40℃近くまで上がることもあります。ここまで、室温が上がるととても危険な状態です。理想は動物たちのためにエアコンをつけて出掛けることです。
屋外の場合は、風通しの良い所で日陰を作るなど涼める場所を作ってください。

◆散歩に出かけるのは涼しい時間帯に!
真夏のアスファルトは50~60℃にもなると言われています。熱中症にならなくても肉球を火傷してしまう事もあります。朝や夕方、夜などアスファルトの温度が下がってから散歩に行きましょう。散歩に行く前に手でアスファルトを触ってみるのも温度を知るポイントです。

◆車中で留守番は絶対に禁止!!
JAFが行って実験で気温35℃の日中に30分間車を炎天下に置いた場合室温は45℃まで上昇したという結果が出ています。また、同様の実験で窓を3cm開けた場合でも30分後には40℃まで室温が上昇したという結果が出ています。わずか30分でも体温以上に室温があがってしまうので短時間だから大丈夫とは絶対に考えないでください。
また、エンジンをつけたままなら大丈夫だろう!と考える方もいらっしゃいますが、ワンちゃんが普段慣れない車中に一人でいると不安になり、パニックを起こすことがあります。車中で暴れてしまいエンジンが切れてしまった場合はとても危険な状態になってしまいます。

これらのポイント以外にも、人と同様にしっかりと水分補給が出来るようにいつでも水が飲める環境を忘れないようにしてください。

熱中症対策をしっかりと行い、熱中症にならないようにする事が最も重要ですが、
もしも、次に挙げる症状が見られた場合は熱中症の可能性があります。すぐに動物病院に連絡してください。

●体を触ると熱い
●下痢
●嘔吐
●ふるえ
●意識がない

熱中症は命にかかわるとても危険な状態です。「少し様子をみてみよう。」がさらに症状の悪化を招くことに繋がります。
「いつもと少し様子が違う」、「何かおかしい感じがする」いつも一緒にいるご家族がこのように感じる場合は、動物たちの体に異変がある可能性が十分にあります。すぐに動物病院へご連絡してください。早期発見が命を救うことに繋がります。

熱中症対策をしながら、暑い夏を楽しく乗り切りましょう!

動物看護師 木村

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